タワマン買ったら遺言を書こう!おふたりさまのための財産防衛術

遺言を書くのは早いほうが良いけれど、不動産を買ったら特に急ぐべき

遺言書はいつになったら書けばよいか、という質問をいただくことが多いのですが、これに対する回答はひとつ、「早いに越したことはありません。」です。

特にいわゆるおふたりさま(お子さんのいらっしゃらないご夫婦)は、遺言の有効性が高いため、万が一のことを考えるなら少しでも早く作っておくのが正解です。

とはいえ、お二人とも元気なうちは遺言を書いておこうという気分にはなりにくいのも仕方ないことではあるでしょう。

そういう訳で、遺言を書かれる方は一部を除いて70代以上の方が多いのですが、おふたりさまが不動産を買った時だけは、本当にすぐに遺言書を書いていただきたいのです。

今回は、不動産を購入したときに陥りやすい罠と、その回避方法についてご案内いたします。

死亡後の返済には備えているのに死亡後の相続手続きには無防備という状態

金融機関で住宅ローンを組む場合、通常は団体信用生命保険(通称:団信)に加入します。

これは、返済中に借主が死亡してしまった場合にローンの残額が保険によって支払い不要、チャラになるというものです。

団信は半強制とはいえ、ほとんどの方が納得して加入しています。

借主は家計を支えていることが多いですから、その方が死亡してしまったら返済が困難になってしまうのは容易に想像できますので、これは当然といえるでしょう。

筆者も自宅を購入する際にはお金を借りましたが、土地を買ってから家を建てたせいで家が完成するまで団信が有効にならず、家の引き渡しまでは自動車で出かけるときにも気が気ではありませんでした。

しかし、団信の重要性は理解していても、債務者が死亡してしまった場合の相続手続きに備えておくことの重要性にまで気が付いていらっしゃる方はまだまだ少数派なのです。

団信によって相続財産が増加することで生じる相続リスク

通常、ローンの契約時に半強制的に加入させられるますので、団信に未加入ということはまずないのですが、実はこれが逆に不幸を呼んでしまう事態がありうるのです。

それは、団信があると財産が増えてしまうという、一見良いことのように見える現象によって引き起こされるのですが、「他の相続人から相続分を請求されてしまう」ことがあるのです。

住宅ローンの返済方法は元利均等なので、はじめのうちは元金がなかなか減りません。

一方、不動産は買った瞬間に値が下がりますので、住宅購入時の頭金が多額であれば別ですが、オーバーローン(借入が不動産の価格を上回っている状態)である期間が長くなるのです。

このため、不動産をローンで買うと、しばらくは預貯金と合わせても資産はマイナスか、ゼロに近い状態になるでしょう(もちろんそうではない方もいらっしゃるでしょうが)。

仮に団信がない状態で、ローンが始まって数年以内に相続が開始したら、遺産の総額はマイナスになりますので、他の相続人から遺産をよこせと要求されることはないでしょう。

しかし、団信があると住宅ローンが完済されてしまうため、結果として遺産の総額が一気に増えるのです。

しかも、遺産の内訳は不動産が大きな割合を占めることになります。

そうなると、せっかく配偶者から相続したお金のほとんどを他の相続人に渡す羽目になってしまったり、ひどい時には相続したお金に自分の預貯金を上乗せして渡す必要すら有りうるのです。

住宅ローンを払い続けるよりは安上がりなのかもしれませんが、こうなりたくはないですよね。

配偶者に全財産を相続させるという内容の遺言を書こう

おふたりさまが相続トラブルを避けるためにもっとも有効な方法は、配偶者に全財産を相続させるという内容の遺言書を書いておくことです。

配偶者を亡くした悲しみの中、遺産の処理で悩むのは大きな負担になりますし、トラブルが生じると預金を解約するまでの時間も長くなってしまいます。

きょうだいには遺留分がありませんので、遺言さえあれば配偶者は遺言書の内容のとおりに相続ができますし、仮に亡くなった方の親がご存命であり、遺留分の請求をされてしまったとしても、渡す財産は遺産分割協議をするときの半分で済みます。

まとめ

今回は、不動産をローンで買った時に起こりうる相続リスクについてご紹介しました。

・団信は返済についての心配は解消してくれるが、相続リスクは増やしてしまうことがある

・相続リスクは遺言書を書いておくことで軽減できる

年配の方には公正証書での遺言作成を強くお勧めしていますが、若いうちに作成されるのであれば、予算に応じて自筆証書遺言を法務局に預ける方法もありです。

夫婦で築いた財産を守るため、不動産を買われたときには遺言書の作成を検討してみてください。

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