事前準備が相談の成否を分ける
令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、相続に関する相談の件数が増えています。
定期的に開催されている司法書士会や市区町村役場での無料相談会は予約でいっぱいですし、個々の司法書士事務所への相談、問い合わせも以前より増えています。
ところが、せっかく相談しに行っても、事前準備ができていなかったために時間が無駄になってしまうことがあります。
相談のために仕事を休んだり、遠くまで足を運んだのに満足のいく相談ができなかったらもったいないですよね?
そこで今回は、相続に関する相談をするときのコツをお教えします。
手ぶらで行っちゃダメ! 事前に用意すべきモノ
相続に関する相談で一番重要なのは、資産に関する資料を用意していただくことです。
例えば、「子どもが3人いるけれど長男に自宅不動産を相続させたい」という相談については、相談される方の金融資産と不動産、借入についての資料がないと、全くアドバイスのしようがありません。
相続に関する相談は、これからの関係者の人生をどうしたいか、そのために何をどうしたらよいかという相談に他なりませんが、そのためには財産の状況の確認が欠かせないのです。
将来に備えたい、という相談の際にご用意いただくべきモノ
・預金通帳
・有価証券に関する資料(証券会社の定期レポートなど)
・不動産の資料(固定資産税の請求明細、名寄帳など)
・借入に関する資料(返済予定表など)
すでに発生した相続に関する手続きの相談をしたいときにご用意いただくべきモノ
・亡くなられた方の預金通帳
・亡くなられた方の有価証券に関する資料
・亡くなられた方の所有されていた不動産の資料
・亡くなられた方の借入に関する資料
・亡くなられた方の戸籍(出生から死亡まで)
相談したいことの正しい伝え方
相談の予約をする際の、相談したいことの伝え方にもコツがあります。
役所などで開催される相談会では相談員の得手不得手もあったりしますので、例えば相続の相談だけれど後見人選任も必要なケースなどで、たまたま担当した相談員が後見事務について未経験だったりすると、適切なアドバイスが望めないケースもあります。
予約の時点で「どんな手続きを依頼したいか」(例:遺言書を書きたい、後見人をつけたい)ではなく、「最終的に目指したいのはどのような状態なのか」(例:自分たちの死後に障害のある子どもが困らないようにしたい)をお伝えいただくほうが、相談を受ける側も準備がしやすいので、相談をする側にとってもメリットがあります。
困っていることや気になっていることも予約の時点で伝えておくとよいでしょう。
相談までに親族間で話し合っておくこと
相談前に遺言書の書き方や家族信託のことなど、相談したいことについて予習してこられる方もいらっしゃいますが、特に必要はありません。
それよりも、可能な範囲で親族が相続後のライフプランについてどう考えているのかを共有していただくことをおすすめします。
例えば、子どもたちが将来、実家の不動産をどうしたいのか(住みたい、売りたい)だとか、県外に住んでいる子どもが地元に帰ってくるつもりがあるのか、といったことを相談前に確認していただいていると、遺言の作成についての相談でも遺産の分割についての相談でも方針を決めやすくなります。
まとめ
相続について相談するときには
①財産に関する資料を用意しておく
②予約の時点では最終的にどうしたいのかを伝える
③親族の意向を確認しておく
というのが相談を有益なものとするコツです。
大規模な相談会でも、個々の司法書士事務所でも、どちらで相談される際にも役に立つと思いますので、ぜひ参考になさってください。
当事務所でも、相続対策、老後の備えについての相談を承っております。
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