遺言書がない場合、相続人全員で話し合いをして遺産の分け方を決めることになります。
相続人の範囲
亡くなった方が結婚していて子どもがいる場合、配偶者(生存していれば)と子どもが相続人になります。
子どもがいない場合、配偶者(いれば)と亡くなった方の親が相続人になります。
子どもがおらず、親も亡くなっていれば、配偶者(いれば)と亡くなった方のきょうだいが相続人になります。
相続人になるはずだった方が先に亡くなっていた場合、その子どもが代わりに相続することになりますので、場合によっては亡くなった方の孫や甥姪が相続人になりうるということです。
なお、遺産の分け方が決まる前に相続人の誰かが死亡してしまった場合、「死亡した相続人の相続人」が話し合いに参加する必要が生じます。
相続人になるはずの子どもが先に死亡していた場合と、一旦相続人になった子どもが遺産を分ける前に死亡した場合では、話し合いの当事者が異なることにご注意ください。
前者の場合には、亡くなった方の孫だけで済みますが、後者の場合には亡くなった方の子の配偶者も関わってくるということです。
こちらのページも併せてご確認ください。 → 相続人が揃わない場合の対処法
話し合いの方法
直接会っても電話でも、全員が一堂に会しても会さなくても、一つだけの結論が出せれば方法は何でもかまいません。
四十九日や盆、正月に集まった際に話し合ってもいいですし、相続人の一人が他の相続人全員に電話をして意向が確認できればそれでもいいのです。
ただし、どのような方法で話し合ったとしても、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
相続人同士での話し合いがまとまらなく、それでも結論を出さなければならない場合には、家庭裁判所に遺産分割をするための調停を申し立てることになります。
調停は何度か開かれるのですが、2~3年程かかるのがざらであり、それでもまとまらなければ審判という手続きに移行します。
審判は話し合いではなく、裁判所に判断をしてもらう手続きですので、裁判所は法律にのっとった判断をします。
よほど極端でない限り、「親の面倒を見ていた」とか「きょうだい間でかかった教育費に差があった」といった事情は考慮されませんので、手間と費用と今後の親族間の関係などを考えても、相手方が根拠なく遺産を全部よこせ、と主張しているような場合を除き、遺産分割に裁判所を利用することはお勧めしていません。
仮に近い将来相続の発生が見込まれ、ご自身が他の親族よりも貢献しているとお考えであれば、生前に対策(遺言書の作成、生命保険契約の締結など)をしておくべきです。