遺言というのはあくまで相続に開始時点で残っていた財産の分け方を指示するためのものですから、あげる予定だった財産が無くなっていても問題はありません。
例えば、長男に相続させる予定だった不動産を売ってしまったり、姪に1000万円遺贈する予定であったけれど預金残高が1000万円を切ってしまったりしたとしても構わないのです。
ただし、特定の財産を処分することで遺留分の問題が生じることがありますので、そこだけはご注意ください。
当事務所で遺言の作成をお手伝いさせていただいた方については、変更の要否を電話でご相談いただくことも可能です。
不可能ではないですが、お勧めしません。
発見されなかった場合、遺言の内容を実現できなくなってしまうからです。
遺言というのは通常、その遺言によって誰かが相続で有利な立場になるために作ります。
遺言の内容を先に伝えておくことで過度に期待されたり、遺産をあてにして働かなくなってしまったりすると困るから、というご相談をいただくことがありますが、細かな内容までは伝えないにせよ、遺言を作ってあることは遺言によって有利になる相続人に必ず伝えておいてください。
遺言書は形式に関わらず、いつでも変更できます。
事情が変わったり、考えが変わったりしたときには自由に変更ができます。
ただし、それはあくまで健康な状態であればの話です。
変更が必要になったときに重度の認知症であったりすると、変更はできなくなってしまいます。
事後に生じた事情の変化で遺言を変更するのは仕方ありませんが、今決めたくないからと重要な事項を後で変更するつもりで中途半端な内容の遺言を書くのは避けたほうが良いでしょう。
法務局の預かり制度では、遺言書を預かってもらう際にチェックを受けますが、内容については全く何のチェックもされません。
法務局が見てくれるのは自筆で書かれているか、名前と日付は書かれているかといった形式的要件のみです。
おかしなことが書かれていても、何の指摘もされません。
そのため、いざ相続が発生したときに内容の誤りのせいで遺言書としては使えないこともあります。
公証役場では、問題のあることが明確である場合(例えば案文から遺留分侵害が明らかであるような場合)には、「本当にこれでいいですか?」という程度の確認はしてくれますが、個々の家庭の事情にまで踏み込んだようなアドバイスはしてくれません。
そのため、公証役場で遺言書を作ってもらったのに相続発生後に争いになったという相談を頂いたこともありますが、公証役場の仕事はあくまで「使うことができる」状態の遺言を作るところまでであって、個々の事情に踏み込んだ内容まで考えてはくれないのです。
費用は最も高くなりますが、専門家に依頼すれば、親族間の関係性、資産の内訳、遺言者の気持ちや考えまで配慮したアドバイスが受けられます。
せっかく遺言を作成されるのであれば、専門家に相談されることをお勧めします。